第47回 <2010/06/26>
中村真里絵氏(国立民族学博物館)
「農民から職人へ:タイ東北部土器生産地における社会関係の変容」
佐藤奈穂氏(京都大学東南アジア研究所)
「カンボジア農村における死別・離別女性の研究:親族ネットワークと生計維持戦略」
「東南アジアの社会と文化」研究会を以下のとおり開催します。今年度は、東南アジア学会関西地区月例会と共同で開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。
2010年6月26日(土)13:30~17:30
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧・工学部 4号館)4階 会議室(AA447)
中村真里絵氏(国立民族学博物館 外来研究員)
「農民から職人へ:タイ東北部土器生産地における社会関係の変容」
佐藤奈穂氏(京都大学東南アジア研究所 非常勤研究員)
「カンボジア農村における死別・離別女性の研究:親族ネットワークと生計維持戦略」
本発表では、タイ東北部有数の土器生産地ダーン・クウィアンにおいて、土器づくりが活発化する過程で、人々がいかにして社会関係を再編させてきたのかを論じる。都市近郊農村に位置するダーン・クウィアンに住む人々の従来の生業は農業であり、土器づくりは副業であった。そして多くの地域で土器づくりが消滅していくなか、1970年代、日用品としての土器から室内外の装飾品としての土器をつくることへの転換により、ダーン・クウィアンの土器づくりは農民の片手間の副業から専業と化し、作り手は農民から職人になった。
当初、土器づくりは、集落の屋敷地の工房において、親子やキョウダイ、親族間という狭い範囲で完結していた。ところが、1990年代より、生産地の外からの土器職人の流入に伴い、土器づくりに新たな技術的要素が加わるようになると、土器づくりにおける人々の社会関係が、血縁、地縁を基盤にするものから技能ベースへと移り変わっていき、土器づくりは、屋敷地の工房を越えて広い範囲でおこなわれるようになる。しかし、そこで血縁、地縁という従来の土器づくりを支える社会関係は、消滅するのではなく維持されていく。このダーン・クウィアンの人々の関係性を構成する血縁、地縁、技能という要素が、土器づくりを可能にしている一方で、新たに村人の間に経済的な格差を生み出していることに留意したい。本発表では、こうした土器づくりをめぐる人々の社会関係の変化をカーステンの言う"つながり(relatedness)"に依拠しながら検討する。
本発表では,カンボジアの一農村を対象とし,死別・離別女性(メマーイ)が, ①いかに資産を得て,②いかに働き,③いかに子を育てているのかを明らかにする。そこから,農村に生きる女性たちの「貧困回避」と「リスク対応」を可能とするカンボジア社会の特徴とその限界を描き,所得貧困にとどまらない広義の「人間貧困」への理解に迫る。
東南アジアの社会と文化研究会 世話人代表・研究会事務局(2010年度)
杉島敬志 takasugi(at)asafas.kyoto-u.ac.jp
東南アジア学会関西地区例会 世話人・連絡先
片岡 樹 kataoka[at]asafas.kyoto-u.ac.jp
蓮田隆志 hsd[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
速水洋子 yhayami[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
渡辺一生 isseiw[at]cseas.kyoto-u.ac.jp
備考・事前の参加予約は必要ありません。