「東南アジアの社会と文化研究会」のお知らせ

第44回 <2009/11/27>
馬場雄司氏(京都文教大学・教授)
「コミュニティーづくりとアイデンティティーの行方: 北タイ、タイ・ルーの事例」

 「東南アジアの社会と文化」研究会を以下のとおり開催します。オープンな研究会ですので、自由にご参加ください。

配布資料

●日時

2009年11月27日(金)16:00〜18:00 (15:30 開場)

●場所

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
総合研究2号館(旧工学部4号館) 4階会議室(AA447)

●話題提供者

馬場雄司氏(京都文教大学・教授)

●発表要旨

雲南シプソーンパンナーを出自とするタイ系の人々がその出自を意識するとき、自らを「ルー」と呼んできた。しかし現在、タイ・ルーというラベルには、過去への指向とともに現在の認識・未来への指向が示されている。過去への志向、それは過去をふりかえり原点を確認するという意味をもつ。北タイ、ナーン県のタイ・ルーの場合、守護霊儀礼が自らのルーツを確かめる機会となり、故地とのつながりという歴史が意識され伝統文化なるものが強調される。移住に関する歴史の語りにはヴァリエーションがあるが歴史的真実は住民の関心事ではない。住民にとってのリアリティーは、過去とのつながりを示すタイ・ルーというラベルと、「人と人とのつながり」及び「自らの居場所」との関わりにある。現在の伝統文化見直し政策の中では、タイ・ルーという呼称は、故地とのつながりを示すというよりも村というコミュニティーの特色を示すラベルであり、村から離れつつもつながりを持つ人々にとっては、村という居場所とのつながりを確認する目印である。タイ・ルーという呼称は、故地とのつながりを意味しながらも、現在の村づくりの中で村の特色を示すラベルとして機能し、村人に現在のつながりと居場所を与える役割を果たしている。更にそうした中で行われる次世代への文化伝承(真性性を問わない)の努力は未来を志向しているともいえる。つながりと居場所の永続性への希求がそこに含意されている。

 

お問い合わせ先 
kataoka@asafas.kyoto-u.ac.jp
片岡樹(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

備考
・事前の参加予約は必要ありません。
・当日は、資料代として 200円をいただきます。